活動・取り組み
対談
小泉幸道教授×柴崎一秀

日本人の健康を支えてきた「発酵」のチカラ

柴  崎

小泉先生は、当社の「梨ワイン」の生みの親でいらっしゃいます。昭和55年に私が「梨でワインが作れませんか?」とご相談を持ちかけたのがきっかけですので、かれこれ26年間の長きにわたり、陰になり日向になり当社をサポートしていただいております。
昨年には新商品の「梨のスパークリングワイン」を発売するまでになりました。小泉先生との出会いのおかげで、こういう新しい商品が次々に当社に生まれたのだと、懐かしい気持ちとともに感謝の気持ちで一杯でございます。

小泉教授

当時のことは鮮明に覚えております。送られてきた梨を卸し金ですりおろし、ガーゼで絞って、糖濃度を測り、前もって培養した酵母菌を加えてアルコール発酵させ、そうやって造りました。
4~5年の試行錯誤の後、社長のほうから製品化された「梨ワイン」が送られてきたときには、非常に嬉しかったのを覚えております。と同時に「梨」という地場の名産品に着目し、御社の得意の醸造と結びつけ、今までにないものを造りだすという、社長のチャレンジ精神は偉いなと思いました。

柴  崎

先生もお若かったし、私もまだ30代でした。私の祖父が大正元年から酢を作りはじめ、戦後醤油を始めました。
そして、私の代になって、梨ワインやドリンクタイプのお酢などを開発したわけですが、根底にはずっと「発酵」というものがあります。

小泉教授

「発酵」とは、まさに日本の風土、温度、湿度、そして四季の変化に培われてきた食文化ですね。その代表作が「麹(こうじ)」です。
「麹」は蒸した米に麹菌を付けて発酵させたものです。アルコール関係でいうと清酒や焼酎、調味料でいうと味噌や醤油や酢、こういったものはすべて、麹の力を借りて発酵し美味しく育つわけです。

柴  崎

「麹」とうのは、甘酒のもとでもありますね?

小泉教授

「麹」を湯で溶いて、一定の温度で発酵させると甘酒になりますが、この甘酒は日本古来の「栄養ドリンク」と言っていいほど滋養の宝庫なんですね。
「発酵」には、もともとの材料に潜んでいるビタミンやミネラルを引き出し栄養価を高めてくれる作用があいります。納豆を例にとっても、大豆そのものよりも、発酵させた納豆のほうがはるかに栄養成分が高いのです。

柴  崎

発酵食品が健康によいと言われる理由は、そこにあるのですね。

現代人に見直される「お酢」の可能性

柴  崎

発酵食品の中でも最近特に健康食として見直されてきているものに「酢」があります。創業当時から酢を作ってきた当社としましても、最近のお客様の「お酢」への関心の高まりを身をもって感じております。酢は先生のご専門分野でもあられますね。

小泉教授

酢はアルコールをさらに酢酸発酵させたもので、米と麹で発酵した清酒に、酢酸菌を入れてさらに発酵させたものが「米酢」、ぶどう酒から作られたものが「ワインビネガー」となるわけです。
最近は調味料としてだけでなく、飲み物としても扱われてますね。

柴  崎

はい。弊社にも調味料の「べんりで酢」と飲用酢の「梅ごこち」があります。お酢はどのように体に良いのでしょうか。

小泉教授

まず第一に、消化液の分泌促進効果ですね。酸っぱいものを食べると唾液が出ますね。それと同時に胃液も分泌され、食物の消化吸収が良くなり、腸のぜん動を促し便秘を改善し、老廃物を長時間腸に溜めないようにします。
次に疲労回復効果。食酢やクエン酸は体内にたまった乳酸の分解を助けて疲労回復につなげます。
他に、食欲増進、夏バテ解消、血圧降下、血糖値上昇抑制などの効果が期待できます。

柴  崎

現代人にとって魅力的な食品ですね。

小泉教授

ですから食事のときのお酢のものでも、飲用でも、いかなる形でもいいのでお酢を体内に入れるということが大切ですね。
いろんなライフスタイルの方がいらっしゃるので、いろんなやり方があっていいのですが、構えず自然に摂れて続けやすいという意味では、飲むお酢はいいですね。ただし喉を痛めないように必ず薄めて飲んでくださいね。

柴  崎

当社は幸いにもこのお酢を、消費者の皆様にお届けすることで、皆様方の健康増進のお手伝いをさせていただけます。
もっと美味しく手軽に楽しくお酢を摂っていただけるよう、商品に工夫を凝らしてまいりたいと思います。
先生今日は本当に有難うございました。

東京農業大学教授/農芸化学博士

小泉 幸道(こいずみ ゆきみち)

1951年生まれ。'73年東京農業大学農学部醸造学科卒業。'97年より現職。
専門は発酵食品学。発酵食品の科学的な成分変化と機能性に関する研究を行う。
'87年日本缶詰協会逸見賞受賞、'02年、'09年日本農芸化学会論文賞受賞。テレビや雑誌、ラジオなどでも活躍中。